海兵隊と空母駐留/「世界で唯一」の異常をただせ
2016年12月5日(月)
主張
海兵隊と空母駐留
「世界で唯一」の異常をただせ
安倍晋三政権は、沖縄で米海兵隊の新基地(名護市辺野古)や垂直離着陸機オスプレイ着陸帯(東村高江)の建設などを、強権むき出しに推し進めています。本土でも、米海兵隊岩国基地(山口県)や、原子力空母が配備されている米海軍横須賀基地(神奈川県)の部隊増強などが図られています。最大の狙いは、在日米軍基地を「海兵遠征軍」と「空母打撃群」の一大出撃拠点として抜本的に強化することです。日本は、米軍の海兵遠征軍と空母打撃群の配備を許している世界で唯一の国です。日本の主権国家としての立場が国際的にも問われています。
海外への“殴り込み”拠点
現在、沖縄で、民意に反して建設工事が強行されている辺野古の新基地や高江のオスプレイ着陸帯、伊江島補助飛行場(伊江村)でのF35Bステルス戦闘機などの訓練場拡張は、米海兵隊の海外出撃能力を飛躍的に高めるためです。
高江の着陸帯でオスプレイの訓練は一層激化し、F35Bは伊江島に新たな訓練拠点を持つことになります。辺野古の新基地はオスプレイ(MV22)が配備され、強襲揚陸艦も接岸可能です。オスプレイとF35Bは海兵隊部隊とともに強襲揚陸艦に搭載され、海外に出撃することになります。
本土では、沖縄配備のオスプレイが各地に飛来し、訓練を繰り返しています。自衛隊と共同のオスプレイ整備拠点(千葉県・陸自木更津基地)の建設も狙われています。米空軍横田基地(東京都)には2017年から特殊作戦用のオスプレイ(CV22)が、岩国基地には17年にF35Bが配備されようとしています。伊江島の訓練場拡張はそのためです。騒音の増大や墜落事故への住民や自治体の不安や疑問にはおかまいなしです。
沖縄と本土の一体的な基地強化の根本には、日本が、アフガニスタン報復戦争やイラク侵略戦争など米国の無法な戦争への出撃を繰り返す海兵遠征軍と空母打撃群の一大根拠地であるという、世界に例のない異常な事態があります。
米海兵隊は三つの海兵遠征軍で構成されています。うち第1、第2海兵遠征軍の基地は米本土にあります。残る第3海兵遠征軍の基地だけが、沖縄と岩国を中心に置かれています。そのため海兵隊部隊などを輸送する強襲揚陸艦の母港も米本土以外では日本(長崎県・米海軍佐世保基地)にしかありません。
日本は巨額の経費負担も
米軍が世界で日本だけに前進配備している海兵遠征軍や空母打撃群などのため、安倍政権が「思いやり予算」をはじめ7278億円(15年度)もの米軍関係経費を負担していることは重大です。
沖縄など各地で被害をもたらし、地域経済発展の障害になっている米軍基地の固定化・強化に国民の税金を惜しみなく注ぐ政治の転換が必要です。沖縄と本土が連帯し、基地強化を許さないたたかいを大きく発展させましょう。