ばら色の夢をふりまいてスタートした新銀行東京、開業3年で挫折!

「私はジュリアス・シーザーでもアレキサンダー大王でもない」。石原慎太郎都知事が、都議会でいいました。まあ、そりゃそうでしょう。シーザーもアレキサンダーも、教科書には必ず登場し、評価はさておき世界史に名を刻む指導者です。知事がそんな人物と思っている人は、誰もいないでしょう。しかし、二人と自分を比べてしまうところなど、大物ぶる知事らしい。続く言葉は、ひごろ大物ぶる知事が部下の中にこそこそ紛れ込もうとしているように聞こえます。「東京という膨大な組織の中で、私一人がものを発想して全部決まる。そんなことで行政が動くわけがない」。しかし新銀行東京は、知事が5年前の選挙でつくると公約しなければ、そもそも存在していません。「石原銀行」です。中小企業を助ける銀行というふれこみ。なのにサラ金なみの高金利。知事自身、こう話していました。
 「お魚屋さんだか八百屋さんだか…、そんなところ貸さないよ。商店街つぶれつつあるんだから」。あげくに、積もり積もった赤字が都の出資金の1千億円を越えるまでに。知事はさらに400億円を出資したいといいますが、破綻する銀行に都民の税金をつぎ込むとは無理な相談です。都政は私物化され、「石原王国」の異名をとります。王国に輝きをもたらすはずだった銀行を飾り立てた、政党や議員のかつての言葉も忘れられません。「東京発の金融革命」(自民)「夢とロマンをもてるような銀行」(民主)「中小企業の味方」(公明)