内部留保をこれ以上増やさないだけで、月11万7000円の賃上げが可能だとしています。

2015年1月8日(木)

内部留保 増やすのやめれば

月11万円超賃上げ可

労働総研春闘提言

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 全労連と共同して研究・政策活動をしている労働運動総合研究所(労働総研)は7日、「目先の利益ばかりを追求する経営を改めさせ大幅賃上げ実現を」と題する春闘提言を発表しました。内部留保をこれ以上増やさないだけで、月11万7000円の賃上げが可能だとしています。
 内部留保は、2014年7~9月の資本金各規模あわせて500兆4000億円に達していると指摘。前年同期比で42兆8000億円増加しています。
 このうち資本金10億円以上の企業で286兆4000億円(前年同期比14兆3000億円、5・3%増)に達しています。
 各規模別で内部留保額を見ると次のように、この1年で大幅な蓄積となっています。
 資本金1億~10億円で72兆9000億円(同7兆7000億円、11・9%増)。
 5000万~1億円で47兆6000億円(同11兆1000億円、30・5%増)。
 1000万~5000万円で93・5兆円(同9兆6000億円、11・5%増)。
 春闘提言は、これ以上内部留保を増やさず、利益を従業員などに還元するだけで、全規模の平均で月11万7000円の賃上げができるとしています。
 2015年春闘における賃金要求にかかわって、アベノミクスから生活を防衛するための最低限の賃金要求として、6%(月1万8000円以上)の賃上げが必要と指摘。内訳は、(1)2015年度の物価上昇見通し1・7%(2)消費税3%の消費者物価への影響2%(日銀試算)(3)直接税および社会保障費の負担増1・3%(4)さらなる社会保障改悪・負担増への対応など1%―です。
 また、働くルールの確立と雇用条件の改善を提言。最低賃金を時給1000円に引き上げ、サービス残業(賃金不払い残業)の根絶、週休2日制の完全実施、正社員を望む非正規雇用労働者の正規化を実行するには、25兆8000億円の原資が必要だとしています。これは、資本金各規模あわせた内部留保合計の5%強にすぎません。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-08/2015010801_03_1.jpg
(拡大図はこちら)