テレビがおかしいぞ!/首相と癒着 異常な持ち上げ 会食・懇談が止まらない…

2013/05/21

テレビがおかしいぞ!/首相と癒着 異常な持ち上げ 会食・懇談が止まらない…

テレビによる異常な安倍政権持ち上げ番組が相次ぐなか、安倍首相と大手メディア幹部の会食・懇談が止まりません(別表参照)。テレビ関係者は会長、社長のトップに続いて、キャスターや番組コメンテーターとして登場する解説委員も加わっています。
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首相から“ごちそう”になった通信社解説委員のA氏。さっそく番組の中で、ほかの出演者に「安倍さんにお会いになったそうで」と水を向けられ、満足そうな笑みを返しました。キャスターのB氏は自分が進行する番組で、首相公邸に迎えられたことを得意げに告白しました。
 会長や社長らトップが会食したテレビ局は、安倍首相の生出演番組を組んで、首相に言いたい放題の場を提供しています。
 日本テレビの朝のワイド情報番組「スッキリ!!」は、4月に生出演と編集版の2回連続で放送しました。日本テレビは5月には長嶋茂雄松井秀喜両氏への国民栄誉賞表彰式も独占生中継して、首相の姿をアピールしました。日本テレビをかかえる読売新聞グループ本社会長の渡辺恒雄氏、日本テレビの大久保好男社長は会食メンバーです。
 日枝久会長が食事をしたフジテレビは、夕方の「スーパーニュース」(5月10日)に首相が生出演。放送時間は46分にも及び、官邸広報室の“秘蔵映像”なるものを付けました。といっても連休中に外遊した首相が、ロシアで散歩する様子などを撮った素人映像にすぎないものでした。
 2005年、テレビは当時の小泉純一郎内閣を持ち上げる「小泉劇場」と化して、国民から批判を浴びました。最近はテレビを番組ごと安倍内閣に明け渡して、一緒になって踊るかのようです。
 NHK、民放をも律する放送法は、「政治的公平」「不偏不党」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」ことを求めています。この精神を踏みにじるテレビの異様さに厳しい批判の声が寄せられています。
一方的な主張を無批判に
首相側から出演売り込み
安倍晋三首相の民放テレビ生出演が相次ぎます。経緯は「首相ご本人からオファー(売り込み)があった」(日本テレビスッキリ!!」)とあからさまです。
 朝の情報・ワイド番組や夕方のニュース番組という気軽に見られるものを選んで出演していることがわかります。イメージアップをねらい、それと抱き合わせで政策浸透をすりこもうとする、首相サイドの宣伝戦略が見てとれます。記者が「憲法96条の改定を任期中にやるという決意でよろしいんでしょうか」(フジテレビ「スーパーニュース」)と、あおる発言まで飛び出し、テレビが安倍政権の拡声器ともなっています。
 一方、最近のNHKテレビの場合は、「ニュース7」で首相の動向、演説、発言をそのまま流し、「ニュースウオッチ9」で、さらに詳しく説明を加えるパターンとなっています。
 2001年、日本軍「慰安婦」問題を取り上げたNHKのETV番組が改変された事件がありました。当時、官房副長官だった安倍氏がNHK幹部に注文をつけたことが明らかになっています。また、菅義偉官房長官は第1次安倍内閣のときの総務相で、NHKに国際放送で拉致問題を重点的に扱うようにと求めたことがあります。そんな経緯を踏まえて現在、NHK幹部の間で安倍政権にシフトした動きが出ているとも伝えられています。
 7月の参院選を控えて、経済、雇用、くらし、原発憲法と大きな選択を前に、ジャーナリズムとしてのテレビの役割が問われます。国民の厳しい目が必要です。
安倍首相と在京テレビ局幹部・キャスターなどとの会食・面会(日時/相手/場所)
▽3月15日/フジテレビ・日枝久会長/芝公園のフランス料理店「レストラン クレッセント」
 ▽同22日/テレビ朝日早河洋社長(他に幻冬舎社長)/首相公邸
 ▽4月4日/ジャーナリスト・田原総一朗氏/首相公邸
 ▽同5日/日本テレビ・大久保好男社長/帝国ホテル内の宴会場「楠」
 ▽5月8日/読売新聞・渡辺恒雄グループ本社会長、日本テレビ・大久保好男社長(他に長嶋茂 雄氏、松井秀喜氏)/首相公邸
 ▽5月10日/司会者・みのもんた氏/首相公邸
 ▽5月16日/ジャーナリスト・田原総一朗氏/首相公邸
 安倍総理は、一次内閣の時、盛んに「戦後生まれ」を強調した。
 ところが、安倍氏の場合、戦後教育は頭上を通り過ごした。「民主主義」とか「戦争の悲惨さ」などは記憶の彼方にも入っていない。
 その点では、従軍慰安婦問題で国民から批判されてる橋下氏(日本維新の会共同代表)に一脈通じるところがある
 戦争を知らない世代こそ戦争を繰り返してはならないことを、後世に伝える責務があると「寅さん」は考える。
 日本のマスコミはマスコミの役割を果たしていない。
 一つの大きな原因は、「大手新聞社とTVが合体してる」ことにあると思う。記事の垂れ流し的TV版、あるいはその反対だ。もしくは「双方向」である。
 だから、国民は朝、新聞受けから新聞を取り出す、テレビのスイッチを入れると安倍氏の顔が登場する。
 なんか、「恐ろしい時代に住んでる」ぞ!的時代だ。
 どうすりゃいいのか、思案のしどころだが、手っ取り速いのは「しんぶん赤旗」を国民に広く読んでもらうことだろう。
 「三本の矢」が「五本の毒矢 」的発想の転換、もうひとつ別の現実が浮かび上がる。
 マスコミと国家権力の合体は、世界史的にみても、国民を不幸におとしいれた。