生活保護基準は一国民全体の支え 保護基準引き下げは国民全体に影響

2012/10/12

生活保護基準は一国民全体の支え 保護基準引き下げは国民全体に影響

引き下げ狙う政府
野田政権は、生活保護制度を改悪し、保護基準の引き下げを狙っています。最低生活費である保護基準引き下げは、受給者だけでなく国民全体に影響する大問題です。(鎌塚由美、杉本恒如)
民自公3党が8月に強行成立させた社会保障制度「改革推進」法は、生活保護の「給付の適正化」を掲げています。
民主党政権は、「生活保護基準の10%引き下げ」を要求する自民党に迎合。野田佳彦首相は5月、国会で自民党議員の改悪要求に「(考え方は)5のうち4か3・5は同じ」と答え、小宮山洋子厚労相(当時)も「10%引き下げも参考に、検討したい」と応じました。厚労省は9月の概算要求で、保護基準の見直しを「予算編成過程で検討する」と明記しています。
極端に低い捕捉率
生活保護受給者数が今年6月、211万5000人を超え、過去最多と騒がれています。
しかし、所得が生活保護基準を下回る世帯のうち生活保護を受けている世帯は15%程度(2007年)。受給者は全人口の2%に届きません。
英国では4世帯に1世帯、人口の19%が公的扶助を受け、捕捉率は87%です。フランスは捕捉率が9割にのぼり、人口の9・8%が受給しています。
日本では受けるべき人が受けておらず、受給者数は多いとはいえません。保護基準を下げれば、さらに制度からはじかれる貧困層をうみます。
生活保護受給者の増加が国の財政を圧迫しているかのようにいわれますが、来年度の概算要求約3兆円は国の歳出の3%です。
生活保護の10%削減を求める自民党は、防災を口実に大型公共事業に10年で2000兆円投入しろと主張しています。コンクリート事業に巨額の予算を投入より、すべての国民に「健康で文化的な最低限度の生活(憲法25条).を保障することこそ真っ先に取り組むべきです。
他の制度にも影響
生活保護基準の引き下げは、最低賃金自治体の住民サービスに影響しナショナルミニマム(最低生活保障基準)を引き下げます。
住民税の非課税限度額は生活保護基準を勘案して決められます。生活保護基準が下がると非課税限度額も下がり、収入は変わらないのに課税世帯に繰り上げられる低所得層が増えます。
さらに住民税非課税かどうかは、国民健康保険料(税)、介護保険料、公営住宅家賃などさまざまな負担の軽減が受けられるかどうっかにかかってきます。保育料の減免も住民税非課税を基準ににしている自治体が少なくありません。
経済的に厳しい家庭の小中学生に給食費や学用品などを支援する就学援助制度を受ける子どもは156万人を超えます。対象は要保護者(生活保護を必要とする人)とそれに準じる困窮家庭(準要保護者)で、準要保護者が141万人と全体の9割を占めます。
生活保護基準の引き下げは、同制度からはじき出される小中学生をさらに広げます。
年金や最賃も
最低賃金が低すぎ、生活保護水準を下回る「逆転現象」が依然として続いています。最低賃金は「生活保護にかかる施策との整合性に配慮する」(最低賃金法)とされています。生活保護基準引き下げは最賃の引き上げをさらに困難にするばかりか、引き下げをもたらしかねません。
生活できない年金額を棚にあげて"それより高い生活保護基準が問題だ"と生活保護基準引き下げ圧力がかかっています。
最賃が低いままでは景気の回復も望めません。生活保護支給総額3・7兆円は、ほぼすべてが消費にまわっています。10%引き下げとなれば、内需も縮みます。デフレが続き、物価下落で年金額がさらに引き下げられる━生活保護基準の引き下げは、国民生活全体を負のスパイラルに引きずり込みます。
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社会保障増進が国の責務
生存権裁判を支援する全国連絡会事務局長
前田美津恵さん
生活保護受給者が増え続けているのは、医療や介護の改悪で国民の負担を増やし、非正規雇用の拡大などで賃金を減らしてきた政府の政策が原因です。自ら受給者を増やしておきながら、"増大する生活保護費の抑制が必要だ"といって改悪を狙うのは許せません。
厚労省は扶養義務を「強化」する仕組みの導入も検討するとしています。これを徹底したら、低所得者低所得者の世話をしなければならず、最低限の生活は守られません。生活保護の申請をためらう人も増え、孤立死につながりかねません。だからこそ、現行の生活保護法は扶養義務者の扶養を受給の要件としていないのです。
憲法25条はすべての国民の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障し、社会保障の増進に努めることを国の責務と定めています。生活保護法はこの規定に直接根ざしており、最低生活ラインは国の財政の都合で左右されてはならないものです。
マスメディアや一部政治家による生活保護バッシングに惑わされず、生活保護が国民全体のナショナルミニマム(最低生活保障基準〉を守る役割を果たしていることを考えていきたいと思います。
しんぶん赤旗2012.10.9)(→pdfファイル
 まったくだ。
 国民の命を守る責任は誰にあるか。日本政府にある。
 だからパスポートがある。
 日本がもしユーロ圏にあると仮定すると、生活保護はもちろん、医療費・年金などは最低クラスになる。
 それに死刑制度があるから、そもそもEUに入れない。
 日本は国民の最低限(文化的な)の生活費よりも軍事費が大きい軍事大国なのである。
 憲法で軍隊を持たないと宣言してるのに。
 反対に「軍隊を持っていい」という憲法がありながら、「軍隊を持つから戦争が起こる」のだと軍隊がない国がある。(コスタリカ
 このお粗末な現状をさらに悪化させようとするのが、生活保護の「扶養義務の強化」である。
 どこかで書いたが、テレビのコメンテーターが「生活保護をもらう」を連発する。それも「専門家」だ。
 「寅さん」などは「なにが専門家だ」とテレビの前で憤慨する。
 「もらう人」がいるなら「めぐんでやる」ヤツがいてるはずだ。
 生活保護は誰かに「めぐんでもらう」ものではない。「寅さん」は口をすっぱくして叫ぶ。
 今は誕生する前から、死んだあとまで税金をとる国が日本だ。天下の悪税、消費税である。
 国民は毎日毎日、せっせせっせと税金を勤勉に納めている。
 で、生活がしんどい、なんとかしてくれ!
 というとき「税金を引き出す」のが生活保護なのだ。
 だって、国民の命は日本政府が責任を持たなければならないからだ。
 しかも生活保護は「最低生活の保障」であってはならない。
 あくまでも憲法25条にあるように、その生活は「文化的」でなければならない。
 最近生活保護「バッシング」という言葉があるほど、自民党が先導し民主も「待ってました」とばかり、保護費削減、受給抑制が進められている。
 日本のマスコミは権力に追随してれば「わが身は安心」とばかりに、「地方自治体の税収入を上回る保護費」などと、本来比較できないものを無理やりこじ付けバッシングに悪乗りしている。
 いつ何時、自分自身が生活保護が唯一の命綱になる可能性がある。
 NHKの「ハートネットテレビ」がホームレス問題を扱った番組があった。
 昨日まで住んでた住居を追い払われる。
 そんな時代が民主、自公政権下で起こったし、起こってる。
 4兆円を超す軍事費、1機100億円の戦闘機を40数機、気前よくアメリカから買えるカネのある日本。
 一方で住む所がない。食べるものがない・・・・・多くの人々が居る。これを格差社会と言わずに何という。
 国民の税金は、まず国民を養う予算を決め、残りを国家予算として使うべきでないか?
 と、思うがどこか間違ってるか?