大企業内部留保で雇用大幅増、賃上げ可1%活用すれば 9社各1万人余雇える

大企業内部留保で雇用大幅増、賃上げ可

1%活用すれば 9社各1万人余雇える

国公労連が試算

 国公労連は、『2012年国民春闘白書』をもとに、大企業の内部留保の一部を活用することによって、大幅な雇用増、賃上げが可能だとする試算をまとめています。

 試算によれば、雇用創出にかかわって、それぞれの企業が内部留保をわずか1%活用するだけで、主要136社中82社で1000人以上の雇用(年収300万円、1年間)が可能だ、としています。このうち9社で1万人以上、13社で5000~1万人未満の雇用が可能です。

トヨタ4万6000人

 企業ごとにみると、トヨタ自動車内部留保の1%を活用するだけで4万6000人の雇用増になります。日本経団連米倉弘昌会長の出身企業である住友化学では、2054人の雇用増が可能です。
 正規従業員に月1万円以上の賃上げをする場合、117社で内部留保3%未満を取り崩すだけですみます。また非正規雇用労働者数が明らかになっている87社のうち、正規・非正規雇用労働者の両方で月1万円の賃上げをする際、内部留保の3%未満で実現可能な企業は67社にのぼります。
 トヨタ自動車の場合、正規雇用労働者31万8000人、非正規雇用労働者6万6000人に対して月1万円の賃上げを実現するには、内部留保を0・47%取り崩すだけで可能です。住友化学には正規・非正規雇用労働者があわせて3万4000人います。内部留保の0・92%を活用すれば、月1万円の賃上げができます。

内需中心に転換

 日本経団連の米倉会長は、年初の新年メッセージで「行動する経団連」として「震災からの早期復興を通じた地域経済社会の再生と内需の掘り起こしに取り組み、企業活動の活性化による雇用の創出、豊かな国民生活の実現を図る」と表明しています。
 この「表明」は大企業がため込んでいる内部留保を活用すれば実現可能です。内需中心の経済、地域経済の再生をめざし、賃上げ、安定した良質な雇用の創出のために、ことば通り「行動する」ことを労働者、国民は願っています。
 2012年春闘にむけて全労連・国民春闘共闘は、時給100円以上、月額1万円以上の賃上げ、時給1000円、日額7500円、月額16万円の到達を目指すとの方針を掲げています。
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