内部留保増加分の20%で356万人の雇用創出/待遇改善こそ経済成長の道

内部留保増加分の20%で356万人の雇用創出

春闘へ労働総研が提言

待遇改善こそ経済成長の道


 労働運動総合研究所(労働総研)は14日、「働くものの待遇改善こそデフレ打開の鍵―企業の社会的責任を問う」とする2011年春闘をたたかう提言を発表しました。
 提言では、日本経済の危機を打開し、健全な成長をはかるために(1)非正規雇用労働者を正規雇用に変える(2)最低賃金1000円への引き上げ(3)すべての労働者の賃金月1万円引き上げ(4)サービス残業(ただ働き)の根絶や年休の完全取得など働くルールの厳守―が必要だと指摘。この経済施策を実現した場合の経済効果を試算しています。
 試算では、356・1万人の雇用を創出し、27・1兆円の消費需要がうまれ、これにより国内生産51・1兆円が誘発され、年5%を超える経済成長率が実現するとしています。
 そのために必要な原資38・2兆円は、1999年から2009年までに企業がため込んだ内部留保増加分195・8兆円の19・51%にすぎないとしています。提言では「企業がその気になれば十分に可能である」と指摘しています。
 具体的にみると、雇用創出では、サービス残業の根絶で202万人、年休の完全取得で144・8万人などに達し、増加分の8・68%で可能です。
 また、非正規雇用労働者を正規化した場合、必要な原資7・9兆円(増加分の4・03%)に対し生産誘発額は12・22兆円に達します。
 全労働者に月1万円を賃上げした場合では、原資7・87兆円(増加分の4・02%)に対し生産誘発額は9・66兆円です。
 最低賃金1000円では、原資5・42兆円(増加分の2・77%)に対し8・38兆円の生産を誘発するとしています。
 都内で記者会見した木地孝之研究員は、「日本経済の最大の問題は、賃金が下がり続けていることだ。企業は内部留保を還元して社会的責任を果たすこととあわせ、政府は、その責任を果たさせるための施策をとる必要がある」と強調しました。
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