消費税と社会保障・だまして脅して、問答無用か
消費税と社会保障
だまして脅して、問答無用か
民主党は政府に提出した「税と社会保障の抜本改革調査会」(会長・藤井裕久元財務相)中間報告で、社会保障の財源は消費税が「非常に重要」だとしました。「消費税を含む抜本改革に政府は一刻も早く着手すべき」と求めています。
民主党は、参院選挙で菅直人首相(党代表)が突然消費税の増税を持ち出し、国民のきびしい審判をあびたのをもう忘れたのでしょうか。消費税は「社会保障のため」だとだまし、消費税を増税しなければ社会保障が「維持できない」と脅し、結局最後は“問答無用”で増税を進めようとは、国民をバカにするにもほどがあります。
破綻した口実通用しない
消費税が社会保障のための「重要」な財源だというのは、消費税の導入のときにも、税率を3%から5%に引き上げるときにも繰り返されてきたごまかしで、国民になんの新味もありません。消費税が導入されて20年になりますが、この間社会保障は充実するどころか、年金も医療も介護も、福祉という福祉が切り下げられてきました。いまごろ「社会保障のため」といわれて信じるほど、国民は甘くはありません。
かつて細川護煕内閣が消費税率を一気に7%に引き上げようとしたとき(1994年)、つけた名前も「国民福祉税」でした。しかし、それも「福祉」を考えたからでなく、日米首脳会談の手土産にする「景気対策」の財源のためだったと、当時の首相秘書官が日本記者クラブの研究会で語っています。「社会保障のため」のことばになんの保障もありません。
「消費税は増税しない」という当たり前のことを、逆に社会保障を削減する口実に使ったのが、2001年発足した小泉純一郎内閣の「構造改革」です。社会保障費は毎年2000億円以上も削られ、福祉は福祉と呼べないほど、急速に悪化しました。これも国民のことを考えたからではなく、「構造改革」を続ければやがて国民が音を上げ、消費税増税がやりやすくなると考えていたことは、当時から指摘されてきました。
生活必需品を含めあらゆる商品やサービスに課税し、どんな収入の少ない人にも負担を押し付ける消費税が、社会保障の財源としてもっともふさわしくないのは明らかです。低所得者も高所得者も生活必需品の購入はそれほど変わりませんから、消費税は低所得者ほど負担が重い逆進的な税金になります。税金を転嫁できない中小企業は身銭を切ってでも納税しなければならないのに、輸出大企業は還付まで受けられます。こうした消費税を社会保障の財源とすること自体論外です。社会保障の財源はもともと、大企業や大資産家にこそ重く負担してもらうべきものです。