JR採用差別/国鉄分割・民営化が引き起こした国家的不当労働行為

JR採用差別

労組側 解決案受け入れ

1人2200万円、雇用に課題


 1987年に国鉄を分割・民営化したさい、国労や全動労(現・建交労)に所属しているとの理由で労働者がJRを不採用となった事件で、当事者と支援者の4者4団体の代表は9日、政府から正式に示された最終的な解決案について協議し、受け入れを表明しました。

 政府と民主党など4党の解決案は、和解金として1人あたり約2200万円(総額約200億円)支払うというもの。不当労働行為を認めた昨年3月の東京高裁判決の賠償金1189万円(遅延損害金含む)と訴訟費用約374万円です。これに加え、当事者の生活を支えた支援団体などに団体加算金58億円を支払います。
 雇用については、「政府はJRへの雇用について努力する」としていますが、「ただし、JRによる採用を強制することはできないことから、人数等が希望どおり採用されることは保証できない」とし、問題を残しています。
 会見した高橋伸二国労委員長は、「24年目にしてようやく、解決の大きな扉を開くことができた。尽力していただいたみなさんに感謝したい」と述べました。また「JRに対する雇用の確保の点では、必ずしも万全ではない。23年もの間、『一人も路頭に迷わせない』という政治の約束が反故(ほご)にされてきた。JRも人道的立場から雇用を受け入れていただきたい」と訴えました。
 JR採用差別問題は、中曽根内閣が強引にすすめた国鉄分割・民営化が引き起こした国家的不当労働行為で、23年間も解決を引きのばしてきた政府の責任が問われていました。