鳩山政権は25%減を堅持せよ

排出目標
鳩山政権は25%減を堅持せよ

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 京都議定書に続く2013年以降の次期枠組みの交渉は、今年、11月にメキシコで開かれるCOP16(気候変動枠組み条約第16回締約国会議)で、拘束力ある合意が得られるかどうかにかかっています。合意を促進するには、米国をはじめとして先進国が大幅削減に踏み込むことが不可欠です。

 各国は1カ月以内に、温室効果ガスの削減目標を申告することになっています。今月開かれたCOP15での合意を受けたものです。鳩山由紀夫首相は20年に1990年比「25%削減」との公表ずみの目標を申告するとしています。

 鳩山首相は「25%削減」を国際公約しており、前提条件なしに堅持すべきです。同時に、その目標を実行する政策の策定を急ぐ必要があります。その姿勢が、この目標を今後の国際交渉に生かす道にもなります。

 ところが、鳩山政権は日本の25%削減目標はすべての主要排出国の参加が前提だとしており、申告にあたって条件をつけようとしています。さらに、産業界は鳩山首相の目標公表直後から25%削減に反対の姿勢です。COP15では日本の目標が「突出する」と危機感を示し、その後も目標を見直すよう政府に迫っています。

 次期枠組みに米国が参加すべきことはいうまでもありません。米国は、世界トップの排出量に見合う責任を果たすべきです。また、中国の排出量が米国を超える水準に達したなかで、経済成長の著しい新興国が何らかの仕方で枠組みに参加することも重要です。日本政府も、先進国と新興・途上国の間の国際協力がさらに拡大するよう追求すべきです。

 しかし、削減目標を交渉の駆け引きの材料とみなして、他国が乗ってこないからと、日本が25%削減の目標を放棄することは許されません。そうした“後ろ向きの競争”で地球環境が守れないことはいうまでもありません。率先して対策を進めてこそ、交渉の前進に寄与することになります。

 産業界が25%削減に反対するのは、他国に比べて対策にコストがかかり、「国際競争力」がなくなるというのが理由です。しかし、20年までの中期目標を引き下げても、それでいいわけではありません。逆に、対策が遅れれば遅れるほど、コストは大きくなるというのが大方の見方です。

 財界はもともと、日本のエネルギー効率が「世界トップクラス」だとして、排出削減に抵抗してきました。しかし、単位電力あたりの排出量は、OECD経済協力開発機構)加盟30カ国中で20位(07年)です。効率を高める余地がまだまだあるのは明らかです。

 日本はいまも効果的な排出削減対策をとれていません。京都議定書で第1約束期間(08~12年)に6%削減を義務づけられていますが、排出量は全体として増えてきています。08年度が前年度比6・2%減となったのは「景気後退に伴うエネルギー需要の減少」(環境省)にすぎず、来年度は再び増加に転じるとみられています。

 削減が進まないのは、主要な排出源である産業界の対策を財界の“自主努力”にまかせてきたことにあります。政府は財界任せにせず、産業界との間で拘束力ある公的な削減協定を結ぶべきです。