「ばらまき」を行っても、今日の経済危機を打開できないどころか、いっそう深刻にするだけです。

5つの対策をすすめます。

1、安定した雇用を保障するルールをつくる

 安定した仕事こそ、国民生活の基盤です。自公政権が労働法制の規制緩和で、低賃金で「使い捨て」ができる非正規雇用=「働く貧困層」を拡大させたことは、内需低迷の大きな原因になっています。

しかも、いま、財界・大企業が、労働者派遣法などの規制緩和を強く求めてきた本当の目的が明らかになり、その深刻な害悪が猛威をふるっています。正社員の場合には、「解雇には合理的な理由が必要」などの諸要件がありました。 財界・大企業にとってこの当たり前のルールこそ“目の上のたんこぶ”でした。派遣社員や期間社員という働かせ方をつくりだし、いらなくなったら一方的な「雇い止め」「契約解除」の紙切れ一枚をつきつければ解雇できるようにする ―― これが労働法制の規制緩和のねらいでした。こんな非人間的なやり方を見直し、非正規雇用から正規雇用へと雇用政策を抜本的に転換させることは、いよいよ急務です。

派遣労働や有期雇用など「使い捨て」労働の規制が必要です。労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正し、期限のある雇用契約は合理的な理由がある場合に限定する労働基準法の改正をはかり、非正規雇用から正社員への転換をすすめます。

全国一律の最低賃金制度をつくり、時給1000円以上に引き上げます。そのために中小零細企業への賃金助成をおこないます。

 「サービス残業」「名ばかり管理職」「QC活動」など、違法な「ただ働き」をなくし、 長時間労働を是正して雇用拡大にもつなげます。

 これらは内需を拡大する大きな経済効果を発揮します。正社員になることを希望している派遣労働者と、正社員と同じ労働時間で働いている有期雇用労働者(約360万人)を正社員化すれば労働者の所得が8兆円増える、「サービス残業」を根絶すれば5・7兆円増える、さらに週休二日と年休の完全取得で7・5兆円増える、これによる民間消費の拡大が国内生産に波及し、国内生産額は24・3兆円も増えるという試算もあります(労働運動総合研究所)。これだけでGDPを2・5%押し上げる効果があります。

 政府も、賃金の上昇がなかったことが内需低迷の最大の要因として認めているように、不安定雇用と低賃金を放置したままで、経済を内需主導で成長させることはできません。

2、安心できる社会保障をきずき、国民のくらしをささえる

 雇用と並んで国民生活を支える重要な柱は、社会保障です。ところが自公政権は、2002年度以来、社会保障予算の自然増を毎年2200億円(2002年度は3000億円)も削減し続けてきました。

その結果、国民のくらしをささえ、命と健康を守るべき社会保障が、生活苦や将来不安を逆に増大させています。病気や失業、倒産などで生活が苦しくなったときに、高すぎる保険料が払えずに保険証が取り上げられるなど、低所得者が真っ先に社会保障制度から排除され、社会保障自体が貧困と格差に追い打ちをかけています。

自公政権が「構造改革」で削減した年額1兆6200億円の社会保障予算を復活させて、つぎの施策にあてることをもとめます。

――後期高齢者医療制度を廃止する。

――国保料(税)をひとり年1万円引き下げる。

――年金・生活保護児童扶養手当などの水準を物価高騰に合わせて引き上げる。

――国の制度として子どもの医療費無料化を創設する。

――介護の保険料・利用料の減免制度をつくり、介護労働者の労働条件を改善する。

――障害者福祉の「応益負担」の廃止、福祉労働者の労働条件を改善する。

これを第一歩として、社会保障の削減から拡充へと転換させ、最低保障年金に踏み出す、先進国でも異常に高い医療の窓口負担を軽減するなど、国民のくらしをささえ、憲法が保障する生存権をまもる社会保障制度にしていきます。

社会保障の拡充は、直接国民のくらしをささえ家計を暖める、将来不安を解消する、そして、医療、介護、福祉などの各分野で新たな雇用を生み出し地域経済を活性化させるという、「一石三鳥」の経済効果もあり、景気対策としても大きな力になります。

3、農林漁業の振興・中小企業の応援・地域経済の再生を

 農林漁業の再生は、地域経済の活性化に欠かせません。自公政治のもとで、米価の下落がすすみ、稲作農家の労働報酬は、時給に換算すると179円という水準まで落ち込んでいます。漁業でも、コスト割れの赤字操業におちいるなどの深刻な事態に直面し、いっせい休漁というかつてない行動に漁民が立ち上がっています。こうした状況は、地方の経済・社会の基盤を弱め、衰退の原因となっています。

 すでに、農産物の価格保障・所得補償、「食料主権」を保障する貿易ルールの追求が急務となっています。農業の再生と食料自給率の向上は、地域経済全体を再生させる土台となります。さらに食料自給率の向上は、国際的な食料不足と価格高騰のもとで、国民の命と健康、生活をまもるうえでも欠かせないものです。

 漁業では、燃油への直接補てんをはじめ、価格保障・所得補償による経費に見合う魚価を実現するとともに、食料自給率を長期的に支える資源管理型の漁業を追求します。国内林業を圧迫している野放図な外材の輸入に歯止めをかけるとともに、国による経営への支援を強めます。

 地域経済の活性化のためにも、中小企業への経営支援がますます重要になっています。「中小企業憲章」を定め、一般歳出の0.37%しかない中小企業予算を2%、1兆円に増額するなど、国の中小企業への施策を抜本的に強化します。そのもとで、中小企業への仕事が増えるように、製品開発、販売を支援する、官公需の中小企業への発注率を高める、自然エネルギー、省資源・リサイクルなどの分野への投資を増やすなど、地域産業の強化をはかります。燃油への依存度が高く、価格転嫁の難しい業種で、経営が苦しくなっている中小企業に対して、直接補填を実施します。小麦などの穀物に対する政府の管理をつよめ、価格の暴騰をおさえます。

 また、中小業者団体が、大企業や大手の業界団体を相手に、下請取引の改善を求める「団体交渉」をおこなう権利を保障する「公正取引確保法」、公共事業のダンピング発注をなくし、人間らしく働ける労働条件を定める「公契約法」など、中小企業の経営を守るルールづくりをすすめます。

4、消費税増税ストップ、庶民の家計を応援する減税を

 麻生首相は、「生活者の不安を取り除く」などと言いながら、「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と増税を明言しました。国民のくらしをおしつぶす消費税増税を宣言しておいて、どうして「くらしの不安」がなくなるのでしょうか。個人消費内需に冷水を浴びせ、所得の低い層ほど重い負担を強いられる「福祉破壊」税である消費税増税に断固反対します。

 庶民生活を応援し、内需拡大につながる減税を実施すべきです。消費税の逆進性の大きな要因となっている食料品への課税をやめ、食料品非課税を緊急に実施します。05年から始まった高齢者、年金生活者への増税をやめて元にもどし、公的年金等控除の最低保障額をいまの120万円から140万円にもどし、一定所得以下の高齢者の老年者控除を復活します。所得の再配分という税制の民主的原則にたって、現在の税制のゆがみを正すことこそ、日本経済を立て直すうえでも急務です。

5、財源は「二つの政治悪」にメスを入れてこそ

 社会保障の拡充や中小企業・農業支援など、内需主導の経済対策を進めるために必要な財源は、これまでの大企業と大資産家応援とアメリカいいなりの政治を転換することによって可能になります。

 ムダな大型開発はもちろん、米軍への「思いやり予算」を廃止することをはじめ、年間5兆円規模にものぼる軍事費の浪費に抜本的なメスを入れることを求めます。年間320億円の「政党助成金」も廃止すべきです。

 この10年間に行われた大企業や大資産家への減税は、直近の年間ベースで7兆円にもなっています。この減税の結果、10年間に40兆円以上もの税収が失われました。景気悪化とはいえ、大企業は、まだまだ大きな利益をあげているという点でも、この間の利益を溜め込んだ巨額の内部留保を持っているという点でも、日本経済をささえる社会的責任と負担をはたすだけの体力は十分あります。大企業・大資産家へのこの間の行過ぎた減税を元にもどし、もうけ相応の税負担をもとめることは当然です。

 軍事費と、大企業・大資産家優遇税制という「2つの聖域」にメスを入れれば、消費税にたよらなくても、くらしをささえる財源を確保することができます。財源問題でも「大企業優先・アメリカいいなり」という「2つの政治悪」をただすかどうかが問われているのです。

 大企業から家計へと経済政策の軸足を移す、以上のような日本経済の抜本的な体質改善こそ、最大・最良の景気対策です。従来型のゆがんだ体質をそのままにして、「ばらまき」を行っても、今日の経済危機を打開できないどころか、いっそう深刻にするだけです。