いじめ・自殺背景に政府の数値目標

こどもがいじめられ自殺する事件が相次いでいます。福岡県筑前町の中学2年生の生徒は、「いじめられてもう生きていけない」と言う遺書を残して、命を絶ちました。北海道滝川市の小学校6年生の女子児童もいじめが原因でした。
 
 いじめによる自殺が起こっているのに、文部科学省の調査ではいじめを理由とする自殺が1999年度以降7年間ゼロとなっています。なぜいじめの実態を隠そうとするのか。いじめの実態と文科省統計との乖離の背景には同省が推進している数値目標の押し付けがあるのではないか。

 伊吹文部科学相はいじめ事実の隠蔽を認めたが、責任は「校長、教頭、教育委員会人間力」にあると答えている。現場の責任のみに転嫁している。いじめの解決を数値目標で図るといった間違ったやり方を進めてきたのは政府ではなかったのか。

 政府は2003年3月に「いじめ、校内暴力などの『5年間で半減』を目指す」をあげていた。文科省のいじめの件数は全国の小中高の学校数をはるかに下回る数。「5年間で半減」と言う目標は学校ごとに見れば「ゼロ」目標にならざるを得ない。

 国会で取り上げられた新潟市では、目標でも評価でもいじめ発生をゼロとしないと、学校からの報告を教育委員会が受け取らない仕組みが作り上げられている。いじめ問題を隠蔽しようとするそもそもの原因が政府にあることは明白でなないか。